2026年03月16日
今回は、病気に対する食事療法として私たちが提案する、療法食についてのお話です。
療法食とは獣医師が家庭動物の診療行為の一環として使用することを想定し、栄養成分の量や比率が調整された特別な栄養特性または特別な製造方法により製造されたペットフードである。従って、特定の疾病または健康状態の犬猫に対し、獣医師の診断に基づく治療の中で、食事療法に利用することを目的とし、獣医師の指導のもとで給与することを意図したもの
…とされています。
しかし療法食は日本の法令上一般のペットフードと同じように扱われており、ペットショップや量販店でも仕入れ・販売が可能になっています。規制をしたくても独占禁止法によって不可能となり、動物病院を介さずに購入できてしまうことは獣医師会でもかなり問題視されています。
ではなにが問題なのでしょうか?
療法食と総合栄養食はイコールではありません。
前述のとおり、栄養成分や原材料、製法が特別に調整されており、必ずしも総合栄養食と同じような栄養基準を満たしているわけではないのです。
私たちが療法食をご紹介する際にお渡ししているプリントがあり、以下のようなことが書いてあります。
・特別療法食とは、特定の病気などに対処するために栄養バランスが考慮され、専門的なアドバイスや指示にしたがって与えることを意図したペットフードのことです。
食事管理は、お薬を飲ませることと同じくらい、病気の治療にとって大切なことです。
・多くの製品は総合栄養食と同等の栄養バランスを満たしていますが、病気を管理するために特定の栄養素を強化・制限している、特殊な組成をもつフードなので、獣医師の指示にしたがって与えましょう。自己判断での療法食の開始・中止は治療が障害されることがあります。
・また、インターネットや量販店で漫然と継続購入してしまうと、栄養の過不足によってかえって病気になってしまうこともあります。定期的な診察を受け、その上で適切なフードを獣医師に選んでもらうことで初めて正しい食事管理となります。
事実、療法食を漫然と続けてしまったために、本来治療していた病気とは別の病気になってしまった例は多く報告されています。
ただ療法食を与えるだけでなく、定期的な診察とその時の状態に応じた療法食の選択が必要になります。
例えば、尿石症用のフードであっても「どの結石をターゲットにしているか」「患者の年齢は」「尿の状態は」などによっても選択が変わりますし、フードのメーカーによってもコンセプトが異なります。それらを総合して選択・提案するのが動物病院の役割なのです。そして、その選択に私たちは責任があります。
療法食をご提案した際、
「インターネットで購入してもいいですか?」
「ペットショップにも売っていますか?」
などとよく訊かれます。
気軽に「いいですよ」とは答えません。上記のようなリスクがあるから。そして、責任を放棄してしまうことになるからです。
みなさんの大切なご家族が病気になってしまったら、ぜひ一緒に治療をし、長く一緒に暮らしていけるサポートをしたいのです。ご理解の程お願い致します。

