2026年03月16日
少々耳に痛いかもしれませんが、来院するわんちゃん・ねこちゃんの多くは肥満を抱えています。
近年のフードやおやつの多様化、愛玩動物としての考え方の変容が関係し、全国的・世界的にペットの肥満が問題となっています。
「肥満は病気」と分かっていても、動物医療従事者である私たちでさえ「かわいい」と言ってしまったり、また、「この子肥満だね!」とはハッキリ言いにくかったりと、目をつぶってしまいがちです。
肥満は万病の元と人では言われています。わんちゃん・ねこちゃんも例外ではありません。
肥満が原因で引き起こされる疾患は以下のようなものが挙げられます。
・糖尿病
・脂質代謝異常(高脂血症)
・高血圧
・心臓病
・脂肪肝
・がん(大腸がん・乳がん・子宮がんは肥満が関与すると言われているようです)
・関節炎、関節の変形などの運動器疾患
・アディポカイン(脂肪細胞からのサイトカイン)分泌
…レプチン、アディポネクチン、レジスチン、TNF-α、PAI-1
アディポカインはさまざまな種類がありますが、例えばレプチンというアディポカインは、食欲を抑制する作用があり、体脂肪が増加すると分泌されますが、肥満になると分泌はされるのに反応性が低下するために食欲が抑制されにくくなるというものがあります。
そのほかにもインスリンが効きにくくなる作用を引き起こしたり、血栓ができやすくなったりと厄介な作用があります。太っているだけでこれらが分泌されていると思うと「丸っこくて可愛い」だけでは済まされないと思います。
肥満に対する治療は、病院で指示することがありますが、ご家族皆さんの協力がないと成功しません。
①食事量を適切にすること
食事量を正確に測っている人は実は少ないかも知れないと思っています。電子秤で正確に計らずに、カップにどれくらいとかスプーン何杯分とかで計っている方が多いのではないでしょうか。しかしカップなどは日によって、計る人によって具合が変わってきて、結構差が出ているようです。
②運動
以前は当院でもダイエットの話をするときに、「運動で痩せるのは難しいから食事を変えましょう」と説明してきましたが、実際は運動も大切です。
筋肉量をたくさん増やしても上がる代謝は僅かなようですがインスリン感受性が上がることで糖質の代謝が円滑になる可能性があります。
③療法食
低カロリーなもの、繊維が多く配合されているもの、脂質代謝を上げて痩せやすい体質にするものなど、肥満治療用の療法食は様々な種類があります。
ちなみに、「ライト食」と「肥満治療用療法食」は異なりますので注意が必要です。
中鎖脂肪酸というのが、リパーゼに頼らずに消化吸収されて速やかにエネルギー源となるが体脂肪として蓄積されにくい脂肪と言われています。MCTという名前をテレビCMなんかで聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな都合がいいものがあるの!?という感じですが、動物にとっては美味しくないらしく、嗜好性が悪いのであまり配合されていないと思います。
④薬物療法
当院で提案したことはありません。副作用もあるそうですので、本当に命に関わるほど太ったら選択されるのかもしれません。
せっかくダイエットしているのに、別のご家族の方がおやつをあげてしまう…といったお悩みもよく聞きます。体重の推移を記録する折れ線グラフなどを皆さんに見えるところに掲示してみたり、おやつの量や種類をキッチリ決めてみたり、またはおやつの量だけでも把握しておき、同じ重量のご飯を減らすなどの工夫を提案しています。

